利用規約の作成方法とは?法的観点から正しい作成方法と注意するポイントを弁護士が解説!

事業者(会社及び個人事業主など)がWEBサービスやアプリなど多数の人に向けたサービスを提供する場合、利用規約を作成する必要があります。利用規約を作成していなかったり内容に不備があったりすると、ユーザーとトラブルになった際、事業者に不利な結果となってしまう可能性があります。しかし、利用規約をどのように作成すればいいのか不安な方も多いのではないでしょうか。本記事では、利用規約の作成方法と注意するポイントについて、スタートアップ・中小企業に精通した弁護士が解説します。

利用規約を作成する必要性

利用規約とは、サービスを提供する事業者がユーザー向けにサービス利用上のルールをまとめたものです。

事業者がユーザーにサービスを提供する場合、利用方法や料金の支払方法を定めていなければ、ユーザーと揉め事が発生してしまいます。そこで、本来であれば、事業者とユーザーの間で、利用方法等を定めた契約を締結することになりますが、不特定多数のユーザーに向けたサービスについて、全てのユーザーと1対1で契約を締結することは現実的ではありません。

そのため、事業者が一律の契約条件(=利用規約)を用意し、ユーザーが利用規約に同意することで、事業者とユーザーの間で契約が締結されたこととなります。

ここでのポイントは、利用規約は事業者が用意できるため、事業者がその内容をある程度自由に決定できるという点にあります。事業者は、ユーザーから利用規約に同意してもらうことにより、自分が定めた条件でユーザーにサービスを利用してもらうことができます。このように、不特定多数のユーザーへサービスを提供する事業者にとっては、利用規約を作成することが必要となります。

契約書との違い

事業者が用意した利用規約にユーザーが同意した場合、利用規約は事業者とユーザーの契約内容となります。サービスの利用や料金の支払、トラブルが発生した際の解決は、利用規約に則って行われることとなります。この点で、利用規約は契約書と効力が同じと言えます。

しかし、利用規約と契約書には、違いもあります。

契約書は、契約当事者の一方が案を提示し、それに対し、もう一方の当事者が内容を確認し、交渉しながら内容を決めていきます。しかし、利用規約は、先ほども述べた通りサービスを提供する事業者が一方的に内容を決めるものであり、個々のユーザーと内容について交渉をすることは予定されていません。事業者としては、自らのサービスを使ってもらうユーザーに対し、事業者側で定めたルールの中でサービスを利用してもらえるということになります。

利用規約の作成方法

事業者が利用規約を作成する際は、自分のサービスにあったオリジナルの利用規約を作ることが必要ですが、そのためには、利用規約で一般的に定められている基本的な条項を理解しておく必要があります。

利用規約を作成するにあたり、一般的に盛り込むべき内容については、次のとおりです。

①利用規約への同意

サービスを利用する場合は、利用規約への同意が必要であることを明記します。

②用語の定義

サービス独自の用語を利用規約に使用する際は、ユーザーや第三者からみても意味が明確に分かるようにするため、用語の定義を定めます。

③サービスの内容、利用に関するルール

事業者が提供するサービスを分かりやすく記載することが必要です。この部分があいまいだと、約束したサービスを提供していないとしてユーザーから訴えられるリスクもあるため、どの範囲までサービスを提供するのかはっきりと記載しましょう。

④利用規約の変更の方法

事業者の都合で利用規約を変更する場合の変更方法について記載します。なお、一方的に事業者に有利な変更や合理的でない変更は、民法上認められませんのでご注意ください。

⑤サービスの利用料金と支払方法

有料サービスの場合、サービスの利用料金と支払方法について定めます。

⑥利用に関するルール

サービスの利用上の手順やルールについて定めます。

⑦サービス内のコンテンツについての権利の帰属

サービス内で事業者が提供するコンテンツがある場合、著作権が事業者に帰属することを記載します。ユーザーにコンテンツを投稿させるようなサービスの場合、ユーザーが投稿したコンテンツの著作権の帰属がどうなるのか、事業者側はコンテンツをどこまで利用できるのかを定めておきます。

⑧禁止事項

サービスを利用して犯罪行為を行ってはいけない、ユーザーは第三者の著作権を侵害しているようなコンテンツを投稿してはいけないなど、禁止行為を定めます。

⑨利用規約違反者に対するペナルティ

ユーザーが利用規約に違反した場合には、アカウントを停止するなど、ペナルティを定めます。

⑩損害賠償に関する事項

事業者がユーザーに損害賠償を請求できる場合、ユーザーが事業者に損害賠償を請求できる場合について定めます。

⑪事業者の免責に関する事項

ユーザーが事業者に損害賠償を請求できる場合について、事業者が免責される場合や賠償額の上限を定めます。

⑫サービスの中止、変更、終了に関する事項

事業の状況によりサービスの提供を一時停止したり、終了したりすることがある旨を定めます。なお、そのような場合に、既存のユーザーに損害が発生した場合の責任についても、免責や賠償額の上限を定めておくことが必要です。

⑬利用規約に適用される法律、裁判管轄

「この利用規約は、日本法に則って解釈される」旨や、ユーザーと事業者のトラブルが発生した場合、どこの裁判所を利用するかを定めます。事業者の本店所在地を管轄する裁判所など、事業者に便利な裁判所を指定することが通常です。

作成時に注意すべきポイント

利用規約を作成する際は、以下のような点に注意が必要です。

①関係する法令を守る

利用規約を作成する際は、事業者が提供するサービスに関連する法令の内容を守る必要があります。また、利用規約に関係する法令として、民法第548条の2から4もおさえておくべきでしょう。

②ユーザーの利益に配慮する

先ほどから述べている通り、利用規約は事業者が一方的に決める契約条件なので、事業者に有利な内容になりがちです。他方で、あまりにユーザーに不利な内容だと、利用者の反発を招き、サービスが利用されなかったりネットで炎上したりする恐れがあるので注意が必要です。

特に、ユーザーが一般消費者の場合、「事業者が一切損害賠償責任を負わない」「事業者の故意や重過失によりユーザーに損害を与えた場合も事業者は損害賠償責任を負わない」というような規定は、消費者契約法により無効となります。

利用規約の作成代行、リーガルチェックのメリット

本記事では、利用規約の作成方法や注意点についてご紹介しました。もっとも、利用規約の作成には、多くの法律が関係しますし、事業者だけでなくユーザーの利益にも配慮することが必要です。弁護士に利用規約の作成を依頼したり、利用規約のリーガルチェックを依頼したりすることで、法律違反や炎上のリスクを避けることができます。不安な点がある際は、ぜひ虎ノ門東京法律事務所にご相談ください。

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