従業員の入社・退職に関わる契約書や書面とは?

ベンチャー・スタートアップが成長していく過程で人を雇用する場面が出てくると思います。新しい従業員・労働者が入社する際や従業員・労働者が退職する際、準備・回収しなければならない書類は複数あります。これらの書類をしっかりと取得しておかないと後々、トラブルが発生したりします。そのため、ベンチャー・スタートアップこそ、しっかりとした書類を準備する必要があります。そこで、本記事では、労働者の入社・退職に関わる契約書や書面を解説します。

入社時に使用者が準備すべき書類・契約書

雇用契約書・労働条件通知書

使用者と労働者の雇用契約は、労働契約を締結することによって始まります。また、労働契約を結ぶにあたり、使用者は労働者に対して、賃金・労働時間などの労働条件を必ず明示しなければならず、その内重要な6項目については書面を交付しなければいけません。詳細は<労務管理に関わる契約書や書面とは?>の記事をご覧ください。

法定三帳簿等

労働者を雇用したら、①労働者名簿、②賃金台帳、③出勤簿等、④年次有給休暇管理簿を作成する必要があります。それぞれの詳細は、<労務管理に関わる契約書や書面とは?>の記事をご覧ください。

 

入社時に労働者に準備してもらう書類

誓約書

入社時の誓約書は、労働者に会社の方針やルールを理解し守ってもらい、会社に損害を与えないようにするための書類です。法律で定められているものではありませんが、労働者が会社のルールに違反することを防ぐためにも、誓約書を提出してもらうことがお勧めです。

年金手帳、マイナンバー

年金手帳は厚生年金、マイナンバーは雇用保険や社会保険への加入手続きに必要です。

健康診断の結果

使用者は、新しく労働者を雇い入れる際に健康診断を行うことが法律で義務付けられています。入社の直前直後に会社として健康診断を実施するか、入社前3か月以内に労働者自身で健康診断を受けて結果を提出してもらうことが必要です。この健康診断は、実施しなければならない項目も法律で定められていますので、注意してください。

扶養控除等申告書

労働者が、給与について扶養控除などの控除を受けるために必要な手続です。入社後最初の給与支払いを受ける日の前日までに、使用者に対して提出してもらう必要があります。

雇用保険被保険者証、源泉徴収票

いずれも、前職がある労働者を採用する場合に必要です。雇用保険被保険者証は、前職の企業から雇用保険を引き継ぐため、源泉徴収票は年末調整のために必要となります。

退職時に使用者が準備すべき書類

退職証明書

使用者は、労働者が希望する場合、退職証明書を交付しなければいけません。退職証明書は、国民年金・国民健康保険に加入するためや、転職先に提出するために必要となります。

退職証明書には、勤務していた期間、業務の種類、地位、賃金、退職の理由等を記載します。注意点として、退職証明書には、労働者が請求していない事項を記載してはいけません。作成する際には、労働者の希望をよく確認してください。

雇用保険被保険者証

雇用保険被保険者証は、雇用保険に加入していることを示す証明書です。退職する労働者が、転職するにしても離職して手当を受けるにしても必要となります。使用者が雇用保険被保険者証を保管している場合は、退職時に労働者に交付してください。

源泉徴収票

労働者が年内に転職する場合には、労働者は源泉徴収票を転職先に提出する必要があります。

 

退職時労働者に準備してもらう書類

退職願、退職届

退職願は労働者が退職の意思を伝えるために提出する書類です。退職届は、使用者から承認を得て退職することが確定してから、労働者が労働契約の解除を届け出る書類です。いずれも法律上必須ではありませんが、後々の労務トラブル防止の観点からは労働契約を解除した証拠として残すことが必須な書類となっています。

誓約書

労働者が退職した後、使用者の営業秘密や技術上の秘密を漏らされたり、重要なノウハウを活かして競合他社で働いたりすると、使用者に損害を与える可能性があります。そのような事態を防ぐため、秘密保持義務や競業避止義務を盛り込んだ誓約書を提出してもらうことが考えられます。

もっとも、特に競業避止義務については、職業選択の自由との関係から、地域や期間を区切る等工夫しなければ、競業避止義務が無効になってしまう可能性があります。誓約書を作成される際は、注意してご作成ください。

健康保険証

退職後は健康保険証を使用できなくなりますので、扶養者の分も含めて健康保険証を返却してもらってください。

退職所得の受給に関する申告書

退職所得の受給に関する申告書とは、退職金から所得税などが源泉徴収されるための書類で、同申告書が提出されなかった場合、労働者は自分で確定申告する必要があります。退職金の支給日までに提出してもらってください。

 

本記事では、労働者を採用した際や労働者が退職する際に準備・回収しなければならない書類についてご紹介しました。このような書類をしっかりと準備しておかないとベンチャー・スタートアップという成長著しい過程において内部問題を抱えてしまい、成長スピードが遅くなったりします。そのためには少しでも心配・不安があれば、弁護士にご相談ください。

当事務所ではこれらの書類の雛型の提供やカスタマイズなどを行っております。お気軽にお問合せ下さい。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

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Last Updated on 2024年8月27日 by

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