会社の設立直後は煩雑な手続きや準備するべき書類が多いものです。その中で、契約書などの法務分野の整備を後回しにしてしまう経営者の方も多いのではないでしょうか。しかし、創業初期の基盤がしっかりしていないと、契約や契約書のトラブルがきっかけで、経営に大きなダメージを負ってしまうことがあります。
本記事では、創業初期に整備しておくべき契約書と、契約書作成においてチェックするべきポイントについての概要を、ベンチャー・スタートアップ法務に精通した弁護士が解説します。
契約書が必要になる場面
創業初期において契約書が必要になる場面は
①オフィスを借りるとき
②お金を借りるとき
③人を雇うとき
④業務を第三者に依頼するとき
などが想定されます。
では、各場面でどのような契約書が必要なのでしょうか。
①オフィス(バーチャルオフィスも含む)を借りるとき
オフィスを借りる場合には賃貸借契約を締結します。賃貸借契約書は、賃貸人が用意をしてくれるのが一般的です(バーチャルオフィスの場合にはサービス利用契約書であることが多いです。)。ですので、皆さまは、その契約書の中身のチェック柄を敵確認行っていくことが重要になります。賃貸借契約書で注意をしなければならないは、使用目的(オフィス利用が可能か。)、賃貸借期間(一般的には2年か3年です。)、解除、原状回復、保証金、特約、そもそも普通賃貸借なのか定期賃貸借なのか等になります。最後の普通賃貸借なのか、定期賃貸借なのかという点は、普通賃貸借なのが通常なので、あまり問題とならないことが多いのですが、老朽化が激しく建て替えなどが予定されている場合にはオーナーから定期賃貸借での契約を求められることがあります。定期賃貸借だと期間満了時に立退きを要求される可能性が高く、立退料ももらえないことが一般的ですので不利益が非常に大きく注意が必要です。
②お金を借りるとき
日本政策金融公庫や金融機関からお金を借りる場合には金銭消費貸借契約書を締結することになります。この場合にも金融機関指定の契約書があります。
他方で、個人からの借入を行う場合には、自ら金銭消費貸借契約書の作成が必要になります。その場合には、借入金額、返済方法、金利、弁済期などを基本として、必要に応じて、期限の利益喪失約款、遅延損害金などを定めていくことが必要になります。
③人を雇うとき
人を雇う時には雇用契約書の作成するのが一般的です。これは労働基準法第15条で労働条件の明示が必要になっているからです。記載が必要なのは以下のとおりです。
・労働契約の期間
・就業場所
・従事する業務
・始業時刻及び終業時刻
・所定労働時間を超える労働の有無
・休憩時間、休日、休暇に関する事項
・賃金の決定、計算、支払いの方法に関する事項
・賃金の締め切り、支払日に関する事項
・退職に関する事項
労働紛争は労働基準法上の関係で使用者にとって困難な戦いを強いられる場合が多いです。雇用契約書などが、しっかりとしていないと、紛争時に、労働者側の弁護士や労働組合(ユニオン)などに指摘をされて、不利益な立場に立たされるケースがあります。
④業務を第三者に依頼するとき
第三者に対し業務を依頼するときには業務委託契約書が必要になります。営業代行やコンサルティングを任せる場合などがこれに該当します。
この場合、委託業務の内容(できる限り具体的に特定する必要があります。)、報酬(支払方法や支払い時期などを定めます。)、契約期間(1年間とすることが多いです。)、再委託の可否(再委託をすることができるのか、できる場合にどのような条件なのか)などを定めていきます。
当事務所の顧問先様でも、業務委託契約書の業務委託内容がしっかりと特定がされていないために、皆さまが望んでいる内容の業務をやってもらえていないのに、報酬を請求される場合などが良くあります。
会社設立に関する契約書は、お気軽に当事務所までご相談ください
契約書の種類と契約書に記載すべき内容の概要を解説しました。この記事を読んでいただき、会社設立後に必要な契約書について準備が必要だと感じた方、お悩みが出てきた方は是非とも弁護士にご相談ください
創業初期に整備するべき契約書には、実は多くの気を付けるべき項目があります。それらの項目を詳細に確認することによって、契約書が原因で起こるトラブルを防ぐことができ、自社の事業をスムーズに進めることができます。
虎ノ門東京法律事務所では、ベンチャー・スタートアップ企業の経営者の方に向けて、契約書の雛形提供や項目チェックのサービスを提供しております。現在の法務体制や契約書などの書面に不安のある方、新規に契約書などの作成を考えている方はお気軽に当事務所までお問い合わせください。